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喫茶 雪割草

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深見地区の住民の方達。

その​ほとんどの方に

コーヒーを飲んでいただけました。

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入れ代り立ち代り

ボランティアスタッフさん達も

休憩しに来てくれました。

「今日深見地区に行くと

美味しいコーヒーが飲めるらしい!」と、

他のボランティア団体さんの間でも

噂にもなっていたらしいです。笑

この日は、復興応援隊に加わってのボランティア活動日でした。

昨年3月の初めてのボランティア時にご縁をいただいた山本さんと11月からスケジュール調整を行い、今回お手伝いさせていただくことができました。

山本さんは昨年1月の地震発生後の早い時期から毎週末に高山から駆けつけては、献身的にボランティア活動を行なっています。

9月の奥能登豪雨災害の後、より一層その活動の幅は広がっています。

今回の活動場所は、奥能登豪雨でかなりの被害が出た、輪島市門前町の深見地区。

私達にとって、黒島集落以外の場所では初めてボランティア活動になりました。

黒島地区は豪雨災害の被害は比較的深刻なものにはならずに済み、土砂崩れにより周辺の道路に数か所被害が発生したくらいでした。

 

しかし、その黒島地区から4km程の位置にあるここ深見地区に向かう道中、あまりの被害の大きさを目の当たりにし、絶句しました。

 

日本海に面した道路、片側には雄大な日本海の波しぶきがかかるような際を走り、反対側には切り立った岸壁を見上げます。

その法面が、至る所で大規模な土砂崩れを起こし、道路を徹底的に寸断していました。

住居よりも大きいような巨岩が転がり落ちてきています。

そして唖然としながら到着した深見地区では、更なる衝撃を受けます。

深見川という河の流れが海へと注ぐ河口の地域です。

その深見川が豪雨によって氾濫し、河の両岸に佇んでいた集落を、土石流の渦に飲み込みました。

​河の脇は深く大きく抉り取られて地割れをおこし、倒壊した家屋、泥に埋もれた家屋、

流されてきた土砂や流木がそのまま身長よりも高い位置へとへばりついたままになっている。

まるで、爆撃を受けた後のような光景です。

この現実感が剥がれ落ちてしまったような衝撃に、初めて能登半島へとボランティアに来た際を思い出しました。

山本さんのお話を伺い、また災害直後の映像を見ると、ボランティアの方々や業者の方々の尽力により、

これでもかなりきれいになった後とのことです。

 

この日は山本さんから

「是非、仮設住宅に住んでるこの深見地区の住民の方に、おいしいコーヒーを淹れてください!」

とのお話をいただいており、勿論、これぐらいしか自分にはできないのだからと、快諾させていただきました。

現地に到着後、さてどこに器具を設営しようかと悩んでいると、

「よかったらこの場所を使って~」と集落のおばあちゃんからありがたい申し出がありました。

そこは、椅子やテーブルも既に並べられたガレージ。

わざわざストーブも運んできてくれて、電気も通してくれて、

「どうぞ自由に使ってね!」と、温かな気遣いをいただきました。

コーヒーの器具を並べ出すと、

「えっ!?こんなに本格的に淹れてくれるの??本物のコーヒー屋さんだ!うれしい!」と喜んでくれます。

 

他の住民の方も準備を覗きにきては、

「これは本格的だ!楽しみだ!」と。

「前にもコーヒーの差し入れはあったんだけど、もうポットに入った状態のものだったから…

この場で淹れてくれるのは喫茶店に来たみたいな気持ちになれる。嬉しいわ~。本当にありがとう!」

と想像以上に喜んでくださいました。

 

ガレージを貸してくれたおばあちゃんが、

「こんなにしっかりお店みたいなら、そりゃあ看板を出したいねぇ。

何かないかな? あっ、この雪割草の写真を看板代わりに外に飾ろう!」

と張り切ってくださり、

そこで「じゃあお店の名前は【喫茶 雪割草】にしましょう!」と命名式まで行われました。

 

おばあちゃんは他の住民さんにも積極的に声をかけてくださり、

「今日はここが喫茶店になるから、おいしいコーヒー飲みに来てよ!」とまるで店員さんのように振る舞ってくれました。

 

昨年5月の炊き出しの時も、後にゲストハウス黒島となる建物を徹底的に掃除し、

少しでもカフェのような雰囲気を目指して準備したところ、

自然と「いらっしゃいませー」と来訪者同士でお店屋さんごっこが始まったことを思い出します。

 

この日の深見地区へは他のボランティア団体スタッフさんもかなりの人数が活動されていました。

 

そんな、誰かのために頑張る皆さんにもコーヒーを淹れさせていただきます。

コーヒーを用意する隙間時間を見つけては、その隣で行われている瓦礫の撤去作業をお手伝い。

ボランティアスタッフさんには、解体屋さんが本業で、コーヒー屋さんは副業だと思われていたみたいです。笑

毎月、秋田県からボランティアに通っている人がいます。

なんと、自身も能登で被災していながらも、より被害の大きかった地域へと手を差し伸べに来ている人がいます。

合計で100杯程コーヒーを淹れさせていただきました。

ケトルとバールと交互に持ち替えて、腕の震えが収まりませんでした。

​黙々と作業を頑張るボランティアスタッフの方々にも、少しの安らぎの時間を作れてよかったと思います。

 

場所を提供してくださったおばあちゃんと2人になった時、たくさんお話をしました。

『地震で母屋がダメになっちゃってね、この倉庫に生活に必要なものを全部移したの。

 狭くても、生きてくための仮の住まいには充分だと思って。

 やっとキレイに運び終わったところにあの豪雨でしょ。

 目の前の橋の欄干に信じられない大きさの流木なんかが堰止まりを作っちゃって、

 川の水が全部こっち(家の方)に流れてきちゃった。

 この倉庫の中でも泥が渦巻いてね。こんな高さまで来た。(写真参照)

 そんで大事な荷物は、割り箸の一本も残さずぜーんぶ持ってっちゃった。

 ゴミだけ持ってってくれれば良いのにね!!泥とゴミだけ、置いてったわ。』

そう笑いながら、話してくれました。

店主♂の胸の高さ位に着いた泥の跡。

ボランティアスタッフさんが泥などを掻き出してくれて、

キャンプ用の椅子やテーブルも置いていってくれ、炊き出しの会場としても使えるようになった場所。

しっかりお掃除をしてくれたのに、それでもこびりついて消えない、泥の跡。

嫌でも目に入って来るその跡は、見るたびに色んなことを思い出させるだろうと思うのに、

おばあちゃんは、この場所が憩いの場所になってることがとても嬉しそうだった。

​『よかった。よかった。』 そう何度も繰り返した。

目の前に、氾濫した川がある。倒壊したままの家屋がある。泣く泣く取り壊しを決めた、母屋がある。

・・一体、何が、「よかった」んだよ。

僕は、悲しくなってくる。行き場のない悔しさ?悲しさ?

全く関係の無い僕が、苦いコーヒーで流し込む。

僕は、あばあちゃんに会えて、よかったよ。

いっぱいおしゃべりして、手を握って、おばあちゃんのチャーミングな笑顔に癒されて、

一緒に 喫茶雪割草を切り盛りできて、​

僕は、本当によかったよ。

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茶色に変わっているのが土石流の跡。

​こんな高さまで、泥が渦を巻いた。

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ボランティアの方が床下に入り込んだ泥を掻き出してくれた。

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まだ手付かずのままのところも、多くあります。

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豪雨災害後4ヵ月。まだ、道を歩くのも怖いほど。

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