Tea room
Shamrock Cottage
高原の森の奥。
静かな時間の流れを愉しむ
あなたのための、
小さな小さな、隠れ家です。
朝の時間 06:30-11:00
午後の時間 13:00-18:00
(※11時~13時はお休みです。)
営業日はSNSでのご案内をご参照ください。
海から森へ

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ある日、忙しいであろう杉野さんから珍しくLINEが届きました。
「仕事で山梨~諏訪へ行くのですが、健さんのところへ伺うことはできますか?」
びっくりしました。笑
いつか杉野さんにも長野へと来てもらいたいと思ってはいたけれど、こんなに早く実現するとは思ってもみなかったのです。
ちょうど、ゲストハウス黒島のスタッフさん達を引き連れて研修旅行中だったのだそうです。
折角ここまで来たのだからと足を伸ばして、わざわざ私たちのお店も見学に来てくれました。(同県内といっても、1時間半くらいは離れた距離だったのですが。)
折角お店に来てもらえるならば、普段のお店の雰囲気を味わってもらうために、お店モードの接客をさせてもらいますからねと、あらかじめ念を押しておきました。
そして杉野さん御一行がついにご来店。
大声で歓声を上げてハグしたい気持ちをぐっと抑え、いつも通り、静かに「いらっしゃいませ」をそっと置くように言います。
席に着き、メニューブックに目を通してもらいます。
僕も話しかけたい気持ちを抑えて静かに待ちます。
ドリンクとお食事を出し終え、普段のお店の雰囲気を味わい終えたタイミングで、
仕事はもうおしまい!とばかりに、自分達も椅子に腰を下ろし、ボランティア活動中のオフモードへと変身です。笑
今の能登のこと。これからやりたいこと。経営者としての課題。
そしてこれから宿泊業にも挑戦する私たちへのアドバイス。
有意義なお話が沢山できました。
杉野さんは、いつも能登の海沿いで会う時と同じように、半袖短パンにビーチサンダルという格好でした。
(※スタッフさんに「夏休みの少年」とイジられていた。笑)
とても優秀で魅力的なスタッフさん達を引き連れてしっかり研修に資源を投下する姿勢は、
経営者としての覚悟と貫禄を感じさせました。
貫禄の一方で、スタッフ陣に愛をもってイジられまくっている姿も本当に素敵で、
僕はこれこそ見習うべきリーダーの姿だなと思いました。
研修先ですらもWEBミーティングなどの予定が小刻みに入っているのにも驚きました。
以前にゲストハウス黒島を訪れた時に応対してくださったスタッフさんが、
「忙しい杉野さんを少しでも休ませるのが私の役目です」と胸を張って語っていたことを思い出します。
杉野さんは、日々忙しく、頑張っておられるのだ。
私たち夫婦も、忙しくしているつもりです。
休みなく、掃除をしたり、草を刈ったり、古民家をDIYで直したり、うんうん悩んだりしています。
これからも、なるべく自らの手を動かし、直接触れて、不器用なりに額に汗し続けることで、
気持ちや体温のようなものをひとつひとつに込めていきたいと考えています。
けれども一方でこの私たちの忙しさは、多くの人を喜ばせたり、大きな成果を生み出せる忙しさではないことにも気付いています。
最近、誇らしさだけではなく、相反して負い目や危機感も感じているのです。
夫婦2人きりの極めてちっぽけなカフェの営みだけでは、やはり食べていくことすらも厳しく、
しかも体力は歳ごとに如実に低下しています。
そして、そんな厳しさの中でもやりたいこと、やらねばならないことだけはどんどん増え広がってきていますが、
不器用な夫婦2人がいくら寝る間を惜しんで手を動かしても、成せる仕事の量は多くありません。
誰かの力を頼ること、誰かと共に働くこと、誰かとコミュニケーションを取ること、
これらが避けて通れない課題となってきた今の私たちにとって、
ピッタリのタイミングでその道の先行者が背中を見せに来てくれた。
それが今回の出来事でした。
『頼るのはよくない。借りをつくるなんてまっぴらごめん。』と
変なプライドと固定観念に縛られていた私たちに、力を合わせることの喜びや手応えを体感させてくれ、
価値観を覆してくれたのは他ならぬ能登でのボランティア活動での経験だったのですから。
こうして杉野さんが経営者として【チーム】を率いる姿を見せてくれたこと、
忙しいお姿を見せてくれたことは、自分達にとって最もドラマチックで整合性のある物語。
大変な刺激と学びになったのでした。
あれ?
研修旅行に来ていたのは杉野さん達の方なのに、なんだか私たちが研修を受けたような気分です。笑
その日にちょうど能登へと戻られるということで、私たちがいつも通っていた能登への道を案内しつつ、
これから始める木曽の宿の場所もちょうど通り道にある為、見てもらうことにしました。
完成したら、ご招待したいなぁ。
そして今度は長野で一緒にお酒を飲み、語り合いたい。
杉野さん達が海へとお帰りになった翌日も、その翌日も、あれは現実だったのかと不思議な気分。
標高900mのアルプスの麓の高原の森に、ふわりと日本海の潮風が届いたような、そんな出来事でした。




